ビットコインってなんですか?

ビットコインってなんですか?
不動産の売却は「不動産の窓口」

いいかい、よーく見るんだよ。
金曜日に渋谷に本社があるビットコインの取引所、Mt. Gox(マウント・ゴックス)が倒産しました。債務総額は65億円、同社の資産は38.4億円だそうです。それとは別に約10万ビットコイン(現在の価値にして470億円)相当の顧客のビットコインを紛失したとの発表がありました。
【ビットコインって、何?】
ビットコインとは暗号化通貨(Crypto-currency)の一種です。世界には100種類以上の暗号化通貨が出回っており、ビットコインはその中で最も取引量が多いです。
ビットコインはAさんからBさんに電子コインの所有権を委譲した場合、「Bさんのものになりましたよ」ということを、電子コインを使用しているコミュニティ全体に常にリアルタイムで通知、徹底することで、ひとつの電子コインに対して二人の取引参加者が同時に「これは僕のものだ」と主張することがないようにしています。
これは昔、株券が紙に印刷されたカタチをしていて、それをひっくり返すと名義人(=その株の正当な保有者)の名前がずらっと並んでいた……あの感覚に似ています。名義書き換えが済んで、昔の保有者の名前が斜線で消されて、新しい名前になるとそのオーナーが変わった事実はユーザー・コミュニティ全体に周知徹底されるわけです。
この確認作業のことをブロックチェインと言い、周知徹底が済んでしまえば、昔の取引はちょうどウインナ・ソーセージが数珠つなぎ(=ブロックチェイン)になっているように腸詰にされ、ひとまとまりに「これは、済み!」のカテゴリーに入れられるわけです。
こういう風に過去の名義書き換えの歴史を全部辿り直さなくても、最新のウインナ・ソーセージの部分だけを検分(=その作業がマイニングに相当します)するだけで、その所有権の移動が把握できてしまうわけです。
ただ所有権はわかっても、所有者の名前とか個人情報は暗号化されており、わからない仕組みになっています。たとえば、あなたのiPhoneの中にビットコインを充填しておけば、別にあなたが何処の誰かという個人情報を知らなくても、別の人のiPhoneに「じゃ、これ譲りますから」といってビットコインを譲渡することもできるわけです。
実際、カナダではビットコインでコーヒーを買うことも出来るし、ドイツではビットコインでビールを買えます。フランスにはビットコインで寿司を喰わせる店も出てきているのです。
【Mt. Goxとは】
Mt. Gox(マウント・ゴックス)はそのようなビットコインの私設取引所のひとつです。ここで強調したいのは「私設」、つまり勝手に誰かが作った取引所だということです。実際、現在、世界にある全てのビットコイン取引所(=沢山あります)は、「私設」です。
今回、Mt. Goxが倒産したことで(金融庁は、なにやってんだ!)式の批判をする人が散見されますが、それはお門違いというものです。第一、これらの取引所は「政府公認」でもなければ「登録業者」でもないからです。実際、ビットコインそのものの存在自体が、現在の法規制の埒外(らちがい)にあるわけです。
でもMt. Goxそのものは企業であり、会社である以上、登記されているわけですから、会社が行き詰った場合は、会社更生法に基づく申請がされるのは当然です。
整理するとビットコイン自体はちょうどオープンソースのソフトウェア、Linuxのように自然発生的に出て来た、価値のやり取りに関するネット住人間での「仕法」に過ぎず、それ自体、「善」でもなければ「悪」でも無いということです。ビットコインは企業ではないし、だれかが営利でやっているものでもありません。それは、只、静かに佇んでいるだけの、自分の意思や意図を持たない、存在なのです。
【ゴールドラッシュで商売開業】
しかし、その無機質な1000101011101101101110111というデジタル記号の羅列から成る価値交換の「仕法」、つまり電子マネーを巡って、いろいろな輩(やから)が出て来るわけです。
これは例えば1849年に「カリフォルニアで、金が出たっ!」というのと似ています。カリフォルニア州は、メキシコとの戦争の結果、その僅か前年にアメリカに編入したばっかりでした。つまりポッカリと新しい土地が手に入ったけど、未だ誰も住んでないという「所有権の空白」が出来たわけです。そこへ「金が出た!」という話が広まったものだから、誰もが我先に、猛然とカリフォルニアに駆け付けたわけです。
もちろん、皆はカリフォルニアに着くなり金を掘りはじめたわけですが、中には鉱夫のための丈夫なスボンを売る商売人も出て来ました。これがジーンズのリーバイスです。そして掘った金を安全、確実に取引相手に届ける幌馬車の急便の業者が出て来ました。これがウエルズファーゴです。
つまり「金」そのものには「意思」や「意図」は無いけれど、その周りに群がってきた山師たちは煩悩のかたまりであり、その集団のいろいろなニーズに応えるためのニュー・ビジネスが派生したわけです。Mt. Goxはそのような派生業者のひとつです。
つまり今回のMt. Goxの倒産は、派生業者の倒産なのであって、ビットコインのスキーム自体が瓦解したのでは、今のところ無いという点に注意すべきです。
【バーチャルとリアルワールドの接点】
さて、ビットコインの仕組み自体は堅牢で、エレガントだということはネットスケープの創業者で有名なベンチャー・キャピタリストであるマーク・アンドリーセンを初めとした多くの識者が指摘するところです。
しかし実際にビットコインを手に入れるとなると「日本円からビットコインに換金する」とか「米ドルからビットコインに換金する」などの、現在、各国で流通している通貨を渡し、ビットコインを貰う交換作業が発生します。つまりバーチャル・コインを手に入れるため、リアルの現金を払うわけです。このバーチャルとリアルの接点……ここに大きな問題があります。
例えば僕はアメリカに住んでいるのでコインベース(coinbase)というビットコイン・ウォレット・サービス会社を通じてビットコインを買っているのですが、アメリカのマネーロンダリング法などの関係で、僕のウエルズファーゴの小切手口座の情報や現住所、その他の個人情報をごっそり要求されるし、確認作業に時間がかかります。
またマネロン法に準拠した確認作業の徹底や、その他、それぞれの国の順法のための作業は、ビットコイン・ウォレット・サービス業者ごとにばらつきが大きいです。大部分の顧客は善良な市民だと思うけど、中には悪人も当然、紛れ込んでくるはずです。
銀行や証券会社などの金融機関は、預金者や投資家のおカネや株券を預かる場所ですから、それなりの準備体制を敷く必要がありますし、行政監督当局もそのような準備や手続きがきちんと励行できているかどうかを日頃からチェックしているわけです。
しかしMt. Goxには、そういう金融機関としての矜持というものは、ぜんぜん無かったに違いありません。ただ単純に「ここにビットコインを売りたい人が居て、あそこにビットコインを買いたい人が居る……この二人を引き合わせれば、俺は取引所だ」というようなノリで取引所を名乗っていたわけです。
しかもMt. Goxは、売りたい人、買いたい人の取引をマッチングするだけでなく、それらの人々のビットコインや米ドルや日本円も預かっていました。つまり東証と○×信託銀行の両方の役目を果たしていたわけです。
しかし「株を買ったのに、株券が来ない」とか「株売って現金にしたのに、なぜキャッシュを送ってくれないの?」というように事務作業が遅れると、お客様からクレームがつきます。Mt. Goxの場合、「三か月前に口座開設書類を送ったのに、まだ処理されてない」とか「買ったビットコインを引き出そうと思ったら、まだ送ってくれてない」などの株で言うところの「受渡し未済」が出まくりになったわけです。